(報告)2010年度 東洋大学人間科学総合研究所シンポジウム

「大学における外国語教育の現状と未来:外国語学習 ― 教室の中と外で」というテーマで、2010年度東洋大学人間科学総合研究所シンポジウムが開催されました。
 今年度は「教室の中」に焦点をあて、楽しみながら外国語を学ぶための視点について3つの報告がありました。
 1つめは語彙の学習をいかに楽しむかという視点で、中国語の語彙を覚えるときに、日本語にある漢字の知識がいかにして有効に使えるかという話が紹介されました。
 2つめは文法を学習するさいに、丸暗記では記憶に残りにくいもの、また文法アレルギーを感じてしまう場合に、丸暗記型の学習を脱却する視点はあるのか・・・その手掛かりが報告されました。個別言語を超えた普遍的な共通の言語のしくみを知ることによって、ことばへの関心を高めてもらい、そこから個別言語へと関心を下ろしていけば、学習対象となる言語への愛着が増えるのではないでしょうか。
 3つめは外国語学習の究極的な到達目標である「ことばの運用」のレベルで、以下に自然な運用ができるかという視点で報告がありました。文法的にパーフェクトな文を発話したとしても、それが話される状況や相手によって、必ずしもその文が最適な発話だったかというとそうではなく、言語表現を実際に用いるときのさまざまな方策や気をつけるべき点が「語用論」の立場から紹介されました。
 詳しい開催報告は、『東洋大学人間科学総合研究所紀要』に掲載されます。
 
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「大学における外国語教育の現状と未来:外国語学習 ― 教室の中と外で」というテーマで、2010年度東洋大学人間科学総合研究所シンポジウムを開催します。
 
以下、開催の概要です。(案内用ポスター
 
日時: 2010年10月23日(土) 14:00 - 17:00 (13:30 受付開始)
場所: 東洋大学白山校舎 第2会議室(3号館2階)
 
コーディネーター: 垣本せつ子(東洋大学国際地域学部教授)
司会: 続三義(東洋大学経済学部教授)
 
パネリスト:
1) 横川 伸 氏(東洋大学経済学部教授/東洋大学人間科学総合研究所研究員)
  「中国語のボキャブラリーの習得 ― 日本漢字の知識を生かして」
 イチ、ニ、サン、シ(一、二、三、四)・・・は中国語だった!
 日本語は中国から伝わってきた漢字の多大な影響を受け今日の姿になった。両言語の同形同義の単語は数千にものぼると推測される。こうした単語を中国語として生かす方法はないのか。
 本発表では、漢字表記の構造と字音特徴に焦点を当て、膨大な中国語のボキャブラリーを習得する近道を探ってみる。
 
2) 田中 雅敏(東洋大学法学部専任講師/東洋大学人間科学総合研究所研究員)
  「文法再発見 − ドイツ語文法丸暗記からの脱却をめざして」」
 本発表では、語彙を組み合わせて言語表現を構築していくプロセスを扱う「文法領域」に焦点をあてる。
 「文法ルール(原則)」を丸暗記すれば、ひとまず言語表現は産出できるが、原則から逸脱したものは「例外」と呼ばれ、例外をいちいち暗記していかなくてはならない。
 例外を覚えていくという対処法ではなく、ことばの本質をつかむことによって、例外的な用法まで同じ体系の中で習得できることが期待される。
 
3) 川手-ミヤジェイエフスカ 恩 氏(テンプル大学ジャパンキャンパス教養学部)
  「語用論的能力の育成 − 英語学習者のミス・コミュニケーションに焦点をあて」 
 本発表は、「実社会での適切な言葉の使い方」、ひいては語用論的能力の育成を考えてみる。具体的には、発話行為における英語学習者による語用論レベルでの失敗を紹介し、様々な方向から、かつ体系的に、ミス・コミュニケーションの要因を分析する−社会文化的要因、言語感度による要因、誤認による要因など−。

 
(2010年07月24日更新)